炭水化物・糖質・砂糖の違いまとめ

炭水化物・糖質・糖類。食品のパッケージの裏をみると似た様な言葉が並びます。この細かな分類は一見有用ですが、ある程度理解をしないと逆に混乱を招いてしまう恐れもあります。

例として、「明治」のオリゴスマートというチョコの炭水化物の欄を見てみましょう。

炭水化物 2.3g
 -糖質 2.1g
  -糖類 1.2g
 -食物繊維 0.2g

https://www.meiji.co.jp/products/chocolate/07661.html

これ意味分かります?私も調べるまでわかりませんでした。普通に生きていればおそらく分からないと思います。ここでは、糖質や糖類の違いや、それぞれの簡単な説明を記載していきます。

炭水化物・糖質・糖類を分類してみた

炭水化物・糖質・砂糖の違い

炭水化物の細かな分類を図にしました。


それぞれの項目についての簡単な解説を次のセクションにまとめています。これをみてもよく分からない方は参考にしてみてください。理解が深まると思います。

では改めてオリゴスマートの表示を見てみます。

炭水化物 2.3g
 -糖質 2.1g
  -糖類 1.2g
 -食物繊維 0.2g

https://www.meiji.co.jp/products/chocolate/07661.html

これを先程の表を用いて分類してみると、下の様になります。

炭水化物が2.3g含まれていて、そのうちの0.2gは「食物繊維」です。残る2.1gのうち、1.2gは「糖類」なので、「単糖」か「二糖類」となります。最後まで残った0.9gが「多糖類」もしくは「糖アルコール」ですので「多糖類」に分類される「フラクトオリゴ糖」が最大0.9g入っているという事がわかります。

注意点として、成分表だけでは具体的に何がどのくらい入っているか分からないといった点があります。

例えば、「糖類」が1.2g入っていますが、その全てが「砂糖(スクロース)」であるとは限りません。乳製品を用いていれば、「乳糖」が含まれる可能性があります。

同様に、「多糖類・糖アルコール」が0.9g入っていますが、その全てが「フラクトオリゴ糖」とは限りません。実際に、フラクトオリゴ糖は0.6g含有しているとの記載があり、残りの0.3gはまた別な「多糖」か「糖アルコール」が入っているということになります。


サプリメントや健康食品の注意点

食品表示だけでは限界があり、残念ながら具体的な含有量は分かりません。
明治さんはしっかりとしていて、「フラクトオリゴ糖」という特別な成分の含有量をしっかり明記しています。

しかし中には、「N-アセチルグルコサミンを含有!」など、成分の含有量が明記されず、ブラックボックスになっているサプリメントなどが存在します。

エタノールの消毒もそうですが、量がある程度ないと効果を示さないものが多いです。含有されていても、どのくらいの量が入っているか分からなければ、本当に有効なのか一切わかりません。

ぜひ購入する前に確認してみてください。

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炭水化物や単糖などそれぞれの特徴

炭水化物とは?

炭水化物とは、糖を含む化合物群の総称です。炭素と水からできているため、この様な呼び方となっています。


英語では、炭素「Carbon」と水化物「Hydrate」を合わせて「Carbohydrate」。Carbonhydrateと間違えない様に注意です。省略して「カーボ」などと呼ばれています。

似た言葉に「炭化水素」がありますが、これは「炭素と水素でできている物質」の総称で、ガソリンやメタンガス、プロパンガスを指す言葉です。

糖質とは?

糖質とは、「炭水化物から食物繊維を除いたもの」とされています。
この2つには、人にとってエネルギーになるかならないかの違いがあります。


食物繊維とは?

食物繊維とは、人では消化吸収されにくい食物成分の総称です。

代表的な食物繊維に、

  • セルロース(細胞壁の主成分)
  • グルコマンナン(こんにゃく)などがあります。

「糖や脂肪の吸収を抑える」といったトクホや機能性表示食品を見た事があると思います。この機能性成分である「難消化性デキストリン」も食物繊維の一種です。

食物繊維は、食べても消化・吸収されにくく有用なものでは無いと考えられていました。今では、大腸癌リスクの低下や便通改善、血糖値上昇の抑制などさまざまなな機能がわかってきています。

また、吸収されないからゼロカロリーというわけではなく、大腸で発酵を受けると、その分解物が吸収されエネルギーになる事がわかっています。


多糖類とは?

多糖類は糖がたくさん繋がったものです。

代表的なものに、でんぷん(じゃがいも、でん粉)やグリコーゲンがあります。

多糖類も細かくわけると、2〜10個程度繋がったもの(二〜十糖類)をオリゴ糖(少糖類)、11個以上つながったものを多糖と呼びますが、ここでは三糖類以上を多糖類と分類しています。

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糖アルコールとは?

糖アルコールは、糖を元にできるアルコールです。
アルコールといっても、お酒(エタノール)とは関係ありません。


代表的な糖アルコールに、

  • キシリトール(甘味料・虫歯予防)
  • エリスリトール(甘味料)
  • マルチトール(甘味料)
  • ソルビトール、別名ソルビット(甘味料・保存料)

などがあります。


主な用途は甘味料です。エリスリトールは、カロリーがほとんど無いことから近年ダイエット用品として注目されています。


糖類とは?

糖類とは、単糖類および二糖類の総称です。


食品表示の独特な分類の様に思います。化学・薬学分野ではあまり馴染みがないように思います。

単糖類

単糖類とは、これ以上分解できない、最小単位の糖です。

私たちは、食物から得た炭水化物を最終的にこの単糖類まで消化・分解し吸収します。吸収された糖はエネルギー源やDNAなどはじめ様々なことに用いられます。

代表的な単糖として、

  • グルコース(ブドウ糖・血糖)
  • フルクトース(果糖)

などがあります。

グルコースは生き物の基本的なエネルギーです。


二糖類とは

二糖類とは単糖が2つ結合したものです。

代表的な二糖に、

  • マルトース(グルコース×2:麦芽糖)
  • ラクトース(グルコース+ガラクトース:乳糖)
  • スクロース(グルコース+フルクトース:砂糖)

などがあります。


これら二糖類も、ほとんどは最終的に単糖類へと分解されます。

しかし、ラクトース(乳糖)を分解する酵素を持っていないと、分解吸収されず大腸にて発酵を受けガスなどが生じ、消化器の不調が起こります。いわゆる乳糖不耐症です。

最後に、普段私たちが「砂糖」と呼んでいるものは「スクロース」という物質です。スクロースは、結晶の大きさや純度から、上白糖、グラニュー糖、三温糖、粉砂糖、黒糖などに分類されます。



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【まとめ】

ごちゃごちゃする糖関係の違いを表にまとめました。

注意点として、「炭水化物」や「糖質」の厳密な、統一された定義は無く、生化学分野や化学分野など、分野によって違うように思います。(例えば化学分野では細かい分類はなく、「炭水化物」の中に「単糖」「多糖」「糖アルコール」があるといった感じで、食物繊維も多糖類とするのが一般的かと思います。)ここでは、食品表示に用いられている決まりに基づいて分類しています。


少しでもお役に立てれば幸いです。


【参考】

  • 化学Ⅱ 東京書籍
  • 砂糖の事典 東京堂出版
  • 糖化学の基礎 講談社
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